今回は「幽玄」と云う言葉で表現され演じられる「能・狂言」専用の劇場、
能楽堂に足を運んでみました。
近年、ユネスコの世界無形文化遺産に指定され、日本の伝統芸能の、西洋のそれとは異なる芸術に目を向けた時、その均整の取れた不思議な美しさに深い感動を覚えます。
舞台は三方吹き抜けで、四方には屋根を支える柱があり、正面には老松が描かれています。舞台の床面は総桧の厚板が使われ、弾力を保たせ、音響効果に於いても独特の工夫がなされています。
屋根は反響版の役目を兼ね、観客との境には幕はありません。
演者の登・退場する大切な通路は「橋掛り」と呼ばれ、様々な空間を表わし、3本の松が植えられています。舞台の周りを観客が取り囲み、マイクなどの音響や舞台装置、照明など変化させずに、一体となって、その世界を高めます。能の源流を辿ると遠く奈良時代まで溯りますが、今日の「能」にまで芸術性を確立したのが世阿弥です。作曲論、歌唱論、演出論etc、多くの著作を行いました。中でも今なお我々に多くの示唆を与える「初心忘るるべからず」は世阿弥の云葉としては余りにも有名です。
能楽堂は大阪府内にも約7~8軒ありますが、野外能楽堂を含めると更に多く、近年薪能などで気軽に鑑賞できるものとして人気がありますが、正式な舞台は能楽堂にありますから、その真価に触れるには、一度能楽堂に出かけてみませんか?
大阪能楽会館 大阪市北区中崎西2丁目3-17
TEL 06-6373-1726